骨粗鬆症のお話

健康や病気のこと

年とともに、特に女性は骨が弱くなり、「骨粗鬆症」になりやすくなります。
更年期以降はエストロゲンという女性ホルモンの分泌が少なくなることが大きな原因です。
今日の話は、骨粗鬆症も生活習慣病の一種だという認識を持っていただきたいという話です。

骨密度が下がっただけでは死亡率は上がりません。しかし、それに「骨折歴」が加わると、死亡率が上昇することがわかっています。実は結構怖い病気なのです。折れやすいので注意してほしいのは特に3カ所、手首、背骨、股関節です。背骨が曲がってきた、身長が低くなった、体重が減った、などの体の変化が現れてきたら要注意です。

診断はレントゲンの装置を使った骨密度測定で行います。若い人と比べて骨の密度が70%を下回っていると骨粗鬆症と診断されます。また、70%以上の骨密度が保たれていても、骨が弱くなったことが原因の骨折があれば、その時点で骨粗鬆症と診断され、治療対象となります。

骨は材料がカルシウム、ビタミンD。それらを内服薬で補うのと、ビスホスホネートという、骨の破壊と新生のバランスを取る薬を使うのが一般的です。

しかし!
初めに述べたように、すぐにお薬、ということでもありません。ここが骨粗鬆症が「生活習慣病の一種」と言っても良いであろう一面です。

まずは薬を使わない方法で骨を強くすることを考えます。
具体的には①食事②運動③禁煙④禁酒の4本柱です。

女性ホルモンの減少が大きな原因ではあるのですが、お酒をたくさん飲む人、喫煙者、塩分摂取が多い人、運動習慣がない人が、骨粗鬆症のリスクが特に高いことがわかっています。その他にも、胃がんで胃を取った方や、何らかの原因で食事摂取が十分でない人もリスクが高いです。COPDや肝障害、体重が減っている、腎臓が悪い、などを医者から指摘されている人は、「もしかしたら骨粗鬆症のリスクが高いかも」と思って良いと思います。

①食事
カルシウムは、乳製品を多く取る西欧人と比べて、日本人は不足しがちです。牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、海藻類、大豆を原料としたもの、小魚、青梗菜などの青野菜などに多く含まれています。ビタミンDは摂りすぎも良くないのですが、骨を作るためには必要な栄養素で、椎茸などのキノコ類、サケ、イワシ、カレイ、ブリなどの魚に多く含まれています。

②禁煙
タバコも骨を弱くします。辞めるに越したことはありません。

③禁酒
お酒も同様。特に女性は男性より肝臓が小さいので、肝機能も合わせて悪くなります。お酒をたくさん飲むと食事量が減って栄養素が足りなくなることも追い打ちをかけます。骨折するとお酒を買いに行くのも一苦労になりますから、ほどほどにしておきましょう。

④運動
これが一番いいかもしれません。適度な運動で骨密度の改善、股関節骨折のリスクが低下することがわかっています。1回30分程度、週3回程度の運動が効果的と言われています。運動のいいところは、骨密度自体にも好影響であるだけでなく、他の様々な健康リスクを低減するので、回り回って相乗効果で骨折を防ぐ非常に良い対策になります。

他には、ステロイドを使った治療をしている方、糖尿病、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などもリスクをあげることがわかっています。男性でもこれらの治療を受けている方はいると思いますので、ご心配になればいつでも受診、相談をしてください!

(医師:濱近草平)

コメント

タイトルとURLをコピーしました