退任のご挨拶

いろいろ

医師の濱近です。
この度、前回赴任時と合わせると2年半勤めました東通村診療所を退職することとなりました。
私なりに力を尽くしてきた日々でしたが、諸事情により、志半ばにて大好きな東通を離れることとなり、大変残念であるとともに、これまで私を支えてくださった村民の皆様、職員の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

東通は現在高齢化率が35%を超え、全国平均の29%を大きく上回っています。そして10年後には41%、20年後には47%に達すると予想されています。東通で特徴的なのは、高齢者の絶対数はほとんど変わらないと予想されていることです。つまり、若い人がこの先どんどん減っていくと言う状況です。

その理由と、これからの対策をどこに求めれば良いでしょうか。
全国どこでも出生率は低下しており、人口が減っていくのはどこも同じではあります。中でも当地は青森県の中でも僻地であり、元々働き場所が多いところではありません。漁業をはじめとする第一次産業はどちらかといえば衰える傾向にあり、かつて機能していた家族や地域共同体の形も、今までのように維持することは難しくなっています。

しかし、それだけでしょうか。
それを考え続けたこの1年半でした。
今が何となく回っていればそれでよい、のではなく、5年後、10年後を考えて、今すぐに始めなければならないことがたくさんあると、私には思えます。

当地は入院設備のある診療所、老健、保健福祉センターが併設された地域医療センターを擁し、特養が2軒、有料老人ホームも2件あり、下北地区唯一の急性期病院であるむつ総合病院も、村の中心部からそう遠くはありません。人口が6千人に満たない小さな自治体でありながら、実は、医療的にはそれほど僻地とは言えない土地です。東通だからできる、これからの超高齢化社会への新しい形、それを作るだけの土壌がすでにあります。あとは、若い人たちがもっと力を持ってアイデアを出し合って、今から10年後、20年後に備えていくことが何より重要かと考えます。

診療所、老健、センター合わせて30代以下の職員は15%しかいません。しかし、これからを担っていくのはその方達です。
私がそこにお力添えできなくなったことは大変残念ですが、若い力でこれからの東通を作っていくために、できることは何か、一生懸命考えて実践していっていただければと心から願います。

私は医師として東通の皆さんに育てていただきました。
大好きなこの地を去るのは非常に辛い思いです。
これまでお世話になり、本当にありがとうございました。

令和6年2月23日 医師 濱近草平

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