子供が熱を出しちゃった!

健康や病気のこと

子供がなんとなく熱っぽい、、、測ってみたら38℃。

なんてことが、特に夜中などにあるかと思います。そんなときどうしたらいいか、「熱」に対する考え方についてお話ししようと思います。

 

今日の「熱」のお話のポイントです。
持病のないお子さんで、熱は出ているけど元気な場合は、心配しすぎない。「熱以外の症状」をよく観察しましょう。
②熱を下げるかどうかは、その時の本人の状態次第。お子さんの「メリット」を考えて解熱薬(アセトアミノフェン)を使いましょう。
生後0〜3ヶ月の乳児で38℃を超える時は、小児科に連絡、受診しましょう。
基礎疾患(心臓や肺の病気、血液の病気、ダウン症など)をお持ちの場合は、38℃以上あれば受診しましょう。

 

「熱」自体は基本的には病気ではなく、体の正常な反応の一部です。体が菌やウイルスといった「敵と戦う力(免疫力)」を高めるために、免疫が活性化する最適な温度にまで体温を高めている状態です。

その理屈だと、「熱を下げると体が菌やウイルスと戦う力を落としてしまうのでは?」ということになりますが、この点については、医学研究の世界でもまだ結論は出ていません。ある程度熱があった方が免疫力がキープされるという研究結果がある一方で、熱が上がりすぎたり、高熱の期間が長いと、かえって免疫が下がってしまい、体に良くない可能性がある、とも言われています。

親御さんたちは実感されていると思いますが、子供は一般的に「熱」には強いです。大人が37.5℃くらいで「だるい、、、何もやる気がしない。。。」とへばってしまうのに対し、子供は38℃を超えていても、ピンピンして遊んでいたりします。基本、子供さんは熱があっても元気にしていれば大病の可能性は低いので、心配しすぎる必要はありません。

普段元気なお子さんで、熱以外に症状がなくて普段通りの様子であれば「熱」だけで急いで病院を受診する必要性は薄いです。医者から見ると、発熱だけで受診された比較的元気なお子さんについては、初回では診断がつかないことが多いです。圧倒的に多いのは上気道炎(かぜ)なので、「風邪の初期かな」とは思いますが、確証には至りません。胃腸炎ならお腹に症状が出ていることが多いですし、尿路感染症は後から症状が出てきたりもします。なので、熱以外の症状が出てくるまでは、食事、水分が取れているなら少し様子を見ていても大丈夫です。

ただし、もちろん熱が怖い病気の兆候である可能性はあります。「熱の原因」こそが病気なので、症状の観察が重要です。

強い頭痛や首の痛み、吐き気があれば髄膜炎の可能性があります(肺炎球菌やインフルエンザ桿菌のワクチンを打っていなければなおさらです)。他にも、よだれが止まらない。声が異常に枯れている。音の高い咳をする。血便が出た。おしっこの時に痛がる。尿が変な匂いがする。変なブツブツが出た。異常に泣く。など「普段と違う」「何か変だ」と親御さんが思うときは、いつでも連絡、受診してください。

③と④の場合は少し話が異なります。僕は小児科で研修中に「3ヶ月未満の子供が熱を出したら基本は入院だよ」と教わりました。この時期のお子さんはまだ免疫が弱いので、重い感染症が隠れている可能性を慎重に観察する必要があるからです。多くはアデノ、RSなどの一般的な呼吸器感染症ですが、一部では脳炎のリスクのあるヘルペスウイルス感染症、細菌性髄膜炎などが隠れている場合があります。他にも中耳炎など、抗菌薬が必要な感染症の可能性もあります。いずれにしても3ヶ月未満の乳児に関しては、それ以上のお子さんよりも「発熱」を重くとらえて、小児科のある病院にご連絡することをお勧めします。

基礎疾患のあるお子さんの発熱も、慎重に考えて良いと思います。具体的には、心臓の手術をしていたり、重い喘息があったりなど、何らかのご病気で普段小児科などにかかっている、また、よく受診することがある、といったお子さんは、そういった病気がないお子さんに比べて、同じ感染症でも全身の状態が悪くなる可能性があるからです。早めに小児科の主治医に連絡をお勧めします。連絡がつかなければひとまず当院へご連絡ください。

最後に、熱の測り方と、解熱薬についてです。
体の中の正確な体温を反映しているのは直腸温(お尻の穴で測る)なのですが、そこまでしなくても良いと思いますので、口か、わきの下で測定すればOKです。口で測る場合は、直前に熱いor冷たい飲み物を飲んでいると影響を受ける点には注意です。最近広まってきた非接触型の温度計については、きちんと使えば正確だとも言われますが、直腸温と比較したところ結果がずれていた、という研究結果もあり、まだ評価が定まっていないのが実情です。とは言え、非接触型の体温計でも38℃、39℃あれば熱が出ているのはほぼ間違い無いと思われます。

解熱薬はお子さんの場合、基本的にはアセトアミノフェン(商品名:飲み薬はカロナール、坐薬はアンヒバ)一択です。(アセトアミノフェンが手元になく、すぐに解熱させたい場合、イブプロフェン(商品名:イブ)は「使ってもいい」とはされています。)

それ以外の解熱薬は副作用が出るおそれがあり、お子さんには使えないと思っておいてください。3ヶ月未満の乳児については、解熱剤を使わずに病院を受診するようにしてください。

「熱が出た」という理由だけであせって解熱薬を使う必要はありません。しんどそうで、「熱を下げたらご飯が食べれそう」「熱を下げたら眠れそう」など、熱を下げてあげたら何かしら本人にメリットがある時に解熱薬を使う、くらいの感覚で良いと思います。寝ているのに起こしてまで熱を下げる必要はありません。おでこに貼る冷却シートなどで不快感をとってあげるのは良いと思いますが、全身を何度も冷たいタオルで拭いたりするのはかえって本人の不快感につながるとされ、勧められてはいません。

ここまで書いてきたことはあくまで一般的なことであり、お子さんそれぞれ、その時の体調それぞれで状況は異なります。迷ったり、ご心配な時は、いつでも東通村診療所にご相談してください😊

(医師:濱近草平)

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