東通村診療所長の川原田です。
今回は、例年の倍以上の受診数となっている『 ハチ刺され 』についての内容や予防策、注意点をお知らせします。
広報ひがしどおりに折込をしている【 文殊の森通信10月号 】と内容はほぼ同様のものとなっておりますが、ご了承ください。
ハチ刺されの受診増加中、ハチの巣駆除依頼も増加中
川原田所長
「『暑くて雨の少ない夏はハチが多い』と言われますが…その言葉通り、今年はハチ刺されで
受診する方が増加していますね。例年は7月~11月頃で30名前後ですが、今年は9月中旬で
既に60名と倍になっています。命に関わるアナフィラキシーショックを起こす方もいるので、
傾向と対策を健康福祉課の三國課長と対談します」
三國課長
「ハチ刺されの患者さんが、連日受診されているようですね」
川原田所長
「1日1名どころか、多い日だと3名もハチに刺されて受診に来ています。
7月から本日(9/13)までの2ヶ月半で66件と例年の倍以上ですし、複数回ハチ刺されで
受診した方も数名いるんですよ」
三國課長
「実は健康福祉課にもハチ駆除の相談が毎日のようにありまして…。高齢者宅への駆除出動は
昨年だと20件だったのですが、今年はその数を大きく上回り、40件以上になっています。
これまでにハチ刺されで診療所を受診した方の傾向はどのようになっていますか?」
川原田所長
「ハチ刺されの情報(66件)を分析すると、多くがスズメバチかアシナガバチのようですね。
また、刺された方の70%が男性で、年齢としては60歳~70歳代が合計53%と半数を占めて
います。発生状況では草刈り中が17件と最多ですが、ハチの巣駆除中も7件と多いです。
しっかり防護してハチの逆襲に合わないようにしましょう」
ハチに刺された現場。屋外が圧倒的に多い
三國課長
「畑や庭も多いですね…」
川原田所長
「そうなんです。スズメバチは畑や庭の草むらにも巣を作ることが多いからでしょうね。
予防としては、巣の除去です。家の周囲にハチが複数飛んでいたらすぐに巣を探しましょう。
スズメバチは雨に弱いので、軒先等雨の当たらない場所や小屋の中を重点的に見てください」
三國課長
「ハチに刺される可能性が高い草刈りでの注意は?」
川原田所長
「背丈が高くて、暗い草むらはちょうどいい雨除けになるので、スズメバチは巣を作ることが
多いです。可能であれば草刈りをする前に周囲を確認したいですね。
また、ハチが飛んでいたら巣があると考えて駆除や対策しましょう」
三國課長
「体の防御としてはどういった対策をすればいいですか?」
川原田所長
「どうやらハチに襲われた際に複数の箇所を刺された方が多いようです。
ハチ刺されの受診は66件ですが、刺された箇所は99箇所もありました。
最も多いのが手で33件、次いで腕の24件です。頭部や太ももも多かったですね。
屋外作業では腕や足は露出せず、厚い手袋をつけて、しっかり防護しましょう」
三國課長
「刺された時の対応としては、どうすればいいですかね?」
川原田所長
「ハチの毒は反応が早く、刺されて15分ほどで症状が出ます。
実際にアナフィラキシーの方も2名いましたので、ハチに刺されたらすぐに受診して下さい。
また、ハチに刺された後に細菌感染(蜂窩織炎=ほうかしきえん)を起こした方もいました。
これは刺された箇所にばい菌が入ってしまったという状態です。
ハチに刺された場合は、汚れた手でこすったり、毒を絞ろうとせず、きれいな水で洗い流し、
冷却してすぐに受診して下さい。秋になってもハチに注意してくださいね」
(医師:川原田)
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